
コンテスト決勝の日まで2週間であります。
今日も今日とて兄弟たちは桃屋でライブ決行中。ショータの問題も無事解決、絶好調なのだ。このところ毎日毎日ライブ、よくまー同じ曲やって飽きないものだわと思いきや、どーんと楽しんでるぞ。飽きてるって言えばとっくに飽きてるけど、そこはやってるのがブギィつう特殊音楽、やればやるほど別な世界に突入だ。
今日も今日とてその別な世界に突入した桃屋で突入した兄弟とぐんぐん増える突入したお客さんたちでライブ決行中。
コンテスト決勝の日まで2週間であります。
「きゃああ、いいぞーアッコちゃん。すってっきいい!」
「なんやあのおっさん、また来とるがな。ういとるわなあ。全く。」
ハーモニカ、すっかり上達、ポール・マーガリンフィールドさんくらいにはなったイットク君、思わずつぶやいてしまいました。
ケン「ははは。・・・えー、今日も熱狂的ファンの方が来てるようですが。そろそろ最後の曲を・・・。アッコの歌で。如何にするかー!」
「よ。待ってましたア”ッコ”ぢゃーーん。」
♪じゃじゃっじゃん、じゃじゃじゃん、じゃじゃじゃじゃーーん♪
「ありがとございましたー。」
パチパチパチパチ。うっほー。いえーいい。もとやれー。
うまく行ったぞ演奏はとホッとしております兄弟たち。
そこへ先ほどの男がどこに隠し持っていたか赤い花束小脇に抱えて近づいてきます。
「いやー。どうもどうもどもども。良かったです歌。どうかこれを。」
とそれをショータに。なわけないだろ、アッコに渡します。
「あ、どうも。いつも応援すみません。」
「いやーどもどもどもども。謝ることなんかないっすよう。だって素敵ですからー。」
「いえ、そんなことは。」
「まー、ご謙遜を。ところでちょっとお話があるんですが。あ、申し遅れまして。私はこゆう者でございます。」
と名刺をメンバー達に渡します。
ショータ「キャシャリン芸能社 社長 センダミツオ 出身那覇?」
「はい。一応れっきとした芸能プロ社長でございます。ナハ!」
おさむ「ケン、お前聞いたことあるかキャシャリン芸能社って?」
「うーん、ちょっと知らないなあ。」
「無理もありません。知る人ぞ知るって由緒ある会社ですからー。なは。
「ですから、すみません、アッコさん。ちょっとお時間を。はい。是非お願いします。」
「うーん、どうしようかなあ。」
「何でも好きなものご馳走しますんで。」
「じゃフジヤのパフェでもいい?」
「はいはい。」
「じゃ。行くわ! みんな、ちょっと行ってくるから。」
ケン「おいだいじょぶか?」
「平気平気ーーー。」
と一緒に出て行ってしまいました。
ケン「何か心配だなあ。」
イットク「見に行かはんで良いのでっかー?」
ケン「うん、おい、おさむ。ちょっと様子見に行こうぜ」
おさむ「あ、おう。行こう行こう。」
アッコとミツオ社長の後ろ3メーター。電信柱に隠れながら後を付けます。怪しいぞ二人組。
「さ、さ、どうぞどうぞ。あ、お姉ちゃん!オーダ、オーダー。どうです。やっぱパフェですか。」
「もっちろん。これ。」
と指差すは・・・・。
二人組も店内突入です。フジヤは1階喫茶部の前にへこちゃんキャラのお菓子を売ってるコーナー有り。そこで色々買おうと悩んでるふりをしながら覗き見覗き見じゃ。
ケン「あー、アッコのやつ。あんなもん頼んでやがる。」
おさむ「でっけーパフェだなあ。よくあんなもん食えるなあ。」
「おい感心してる場合じゃないぞ。何話してるのかなあ。」
「聞こえないなあ。」
「ア、笑ってるぞ。楽しそうじゃんか。」
とまー、気をもみもみすること小30分。
「あ、出てくる隠れろ。」
「どうもどもども。お願いします。どうか考えて見てください。なは。また連絡しますんでって、明日もライブ見に行くね。」
「はあ。」
「じゃ帰り気をつけて。なはなはなはー。」
「君たち!もう出てきてもいいよ。」
おさむ「あー、ばれてたか。」
「何よばればれじゃない。恥ずかしかったー。」
ケン「で、話って何だったんだ?」
「えーとねえ。スカウトされちゃった。」
二人「えー、スカウトーーーー!!。」
アッコ「うん、事務所に入ってデビューしないかだって。じゃあねー。」
おさむ「じゃあねーって、おい。行っちゃったよ。ケン、お前行かなくていいのか。あ、ケンも行っちゃった。」
「おーい。待てよアッコ。待てったら。」
と必死に追いつきましたケンちゃん。
「何?」
「何ってお前、マジかよ。それでほら。断ったんだろ当然。」
「えー?考えときますって言っちゃった。」
「何でだよ。」
「だって、もうバンド用意してるんだって言ってるんですもの。何でもチャーとかエディ藩とかつのだひろとか内山田洋とか鈴木ひろみつとかにもう声をかけてあるんですって。誰だかよく知らないけど。
有名人みたいだし。すぐ断るの悪い気がして。」
「うーん、何かそれおかしいぞ。だってお前なんかにその豪華メンツをいきなりなんて。」
「何それお前なんかって!。実力あるってこの前まで言ってくれたじゃないの。それに社長だってデビューしたら絶対売れるって保証してくれたんだよ。」
「だってそれはそれ、これはこれだろ。何か話うますぎるし。」
「私なんか騙したってしょうがないじゃない。話はそれだけ。遅いから私帰る。」
「おい待てよ。送るよ。」
「結構です。」
てんてんてんてん、早足で行っちゃいました。
「うーーーーん。」
翌日、桃屋にて
おさむ「おい、お前昨日あれからアッコに何て言ったんだ。」
ケン「うん、ちょっとね。失敗したかも怒らせちゃったよ。」
「またこれだ。よくケンカするなあお前たち。だいたいお前が野暮天なんだよ。」
「どこが海老天だって。だってさー、チャーとかジミー・ペイジとかジョン・ディーコンとかフランク・ザッパとか用意してレコーディングさせてやるって言ったんだって。おかしいと思わないか。そりゃ俺だ
ってアッコの才能凄いと思うけど、実績無いじゃないか。」
「うん、そりゃ確かにそうだ。心配だな。あの社長調べた方がいいんじゃないか。」
「そう思うけど・・・どうしようか。」
「それより今日アッコ来るかなあ。いつもなら一番最初にいるのに・・・」
「あっ」
アッコ登場、ブスっとしてこっち向いてくれません。
おさむ「あー怒ってるぞやっぱ。おいケン待てよ。今のとこはそっとしといた方がいいぞ。ちょっと落ち
着かないとあの様子じゃ。」
「だってライブが。」
「来たんだからライブはやるよきっと。大丈夫。」
「まあ、そうだろうけど。困った困った。」
「俺が後でとりなしてやるから、安心しろ。」
「それがまた安心できないんだよなあ。」
「このやろー!!」
ショータ「あー、先輩達何楽しそうに話してるんですか。混ぜて混ぜてー。」
「ばかやろー。能天気に。こっちは大変なんだぞー。」
ボカボカボカ。
「ひゃあ、二人で叩かなくても。おっかないなあ。だって何にも事情知らないしー。」
ケン「いいからお前はチューニングしっかりしてな。最近音程甘いぞこらー。」
「ひえ、とばっちりだ。わかりましたー。」
マコがそれを見て笑ってます。
チリンチリンと桃屋入口の扉が次々と開き始めて。
お客さんたちが続々入ってきました。
その中に・・・
「なはー。今日も元気ー?今日も見に来たよー。みんな頑張ってね。」
ケン「あのやろー!!」
おさむ「今はまずい。まあ待て落ち着けよ。」
「だって」
「こうなったら何か証拠無いとアッコも納得しないだろう。それからだ。」
「くそー。むしゃくしゃするなあ。」
当日のライブは大荒れ。ケンちゃん、力入り過ぎるは、アッコは途中で弾かなくなるわ。
さんざん。
まだ未熟者。若いブギ・ブラザースたちです。
へろへろのライブが終わりました。
客席から又も花束持ってセンダ登場。客席からは時ならぬブーイングが。センダさん受けたと思ってあのポーズしてるよ。今日の花は紫の薔薇でございます。
一直線にアッコのとこ寄って行って何事か耳打ち。アッコは手を振っていやいやしてます。そしたら土下座してやんの。根負けしてしぶしぶ承知した様子。
汗を拭いてカウンター席に座ったケンとおさむ
ケン「アッコたち何話してたんだろ。気になるなあ。」
「うん。でもなあ。下手に口出すとまたヘソ曲げちゃうからなあ。」
「あ、アッコ着替えてあいつと出かけるぞ。ついていこうか。」
「やめとけ。今度見つかったらやばい。」
「でもなあ。」
「またフジヤでプロ入りくどくんじゃないか。」
「ならまだ安心だけど。」
そこへイットクがマコの手を引いてやってきた。
「ケン先輩、聞いてくらなはれ。マコがアッコはんたちの話聞いてたらしいんですわ。」
「えー!何話してたの。教えてマコちゃん。」
マコ、イットクにごしょごしょ耳打ち。
「それがでんねん。何か有名なミュージシャンを待たせてるから会ってくれないかつうてお願いしてたようで。」
「ふーん。でも何であんなに嫌々してたのかな。それなら別に行ったっておかしくないのに。」
マコ、慌ててまたもごにょごにょ。
「えー、ほんまかいな。早くそれを言いなはれや。大変ですわ。その会う場所ってのがホテルなんですって。なもんで必死に断ってはったんですなあ。」
おさむ「ですなあって呑気なこと言ってる場合じゃないねん。どこで会いなはるんだろう。あ、移った。」
ショータ外へ慌てて出る。戻って来て。
「先輩ー。アッコさん達、タクシー乗って行っちゃいましたー。」
ケン叩くのも忘れて「ってお前も呑気だな。うーん、困った。探しようが無いぞ。」
マコ、ごにょごにょ。
「何?何?。うんうん。何か山下公園の前のちゃんとしたホテルだから大丈夫だからって土下座してたらしいでっせ。」
「ほんと?とするとどこかな。」
バーテンのフィル「ケンさーん。それならきとホテール・にゅヨコハマあるよ。まん前だしに。にゅグランドは格調有りすぎですねん。どっちにしろそのどれかですの。」
おさむ「フィルは妙なこと詳しいなあ。」
フィル「ははは。ホテル王フィルでんねん。」
ケン「よっしゃあ。行くぞ。追いかけるぞー。」
おさむ「あ、おじさん。今日、ジャックさん来てないんですか?」
シロー「あ、ああ。今日は珍しくいないんだが。」
「じゃ電話お願いします。応援頼みますって。あ、それとほら成田警部にも。電話して下さい。」
「でもまだ犯罪って訳じゃないし。」
「未成年をホテルに連れ込むだけで充分、悪い奴です。それに成田さんはもう友達だし。」
「ああ、わかった。じゃあ取り合えず急いで行って来なさい。」
ぴゅーっと二人は飛んで行きました。
「ええと電話電話。」
じーこじーこじこじこじーこ。
「もしもし」
「は〜いこちら綾部探偵事務所。じゃ無かったイチゴ組でーす。僕アキラちゃん。ふふふーん。何か用?」
「あ、こちら桃屋のシローですがアキラちゃんかい。、兄貴、じゃなかったオサムさんはいるかな。急用なんだよ。」
「ふーん。何おじさん血相変えて。兄貴ならここにいるよー。ちょっと待ってね。」
「はいオサムです。すんません今日行けなくて。組長の説教があって。はにゃほにゃはにゃ。えー何だってー!。そりゃやばい。やばいっすよ。すぐ向かいますから。あやー。はい。ジャック兄貴も一緒に行きます。はい。はい。」
ガチャン
「兄貴ー。ああああアッコちゃんが大変だー。」
ジャック「何だ何だ静かにしろや。何。何だってー。何ぐずぐずしてる。緊急出動だ。ノリヒコお前も来い。」
どどどどどど。全員出動イチゴ組。
センダ社長と表に出たアッコであります。
ぶーーーっ。ぎぃぃぃぃぃっ。
バタン。
「社長お待たせしました。」
「ああ、いい。いい。グッドタイミン。鯛がみんなでたいみんぐ。なんちゃってなははははは。」
アッコ「あのー、タクシーで行くんじゃ無いんですか?」
「うん、今日はね、社長カー付。凄いでしょ楽しいでしょ。さー乗った乗った。」
追い立てられるように乗ってしまいました。後席に二人で。
「あのー前の方たちは・・・?」
前席には屈強な男二人が。
「ああ、こいつら?この人達はうちの社員。こんな顔してるんだけど見掛けばっかりよ。かわいいんだから
ねぇ?」
「へぇ」
「それにしてもアッコちゃん。近くで見るとかわいいねえ。」と近づいてくる。
「ひ」。思い切りドア側に寄るアッコ。
「それ以上冗談すると帰りますから私。」
「ははは。冗談?そう冗談冗談ジョーダンズ。なんちゃって。なは。楽しいねえ今日は。」
裏道を一路山下公園へぶっ飛ばしてます。
場面変わってケンとおさむ。
後を追って外に。
おさむ「た、たーくしー!!」
ケン「お願いあれ止まってくれ!。」
ぎーいぃぃぃっ。
「あ、止まった。さあ早く早く。」
バタン。
ケン「す、すみません。山下公園のえとえと・・・」
おさむ「慌てるな。あの、にゅーヨコハマってホテルまで。お願いします。」
「へーい。」
ぶおーーーー。タクシーはもちろんトウキョウ無線。
おさむ「うーん、道混んでるなあ。やばいなあ。」
ケン「おい、お前、いくら持ってる?」小声で。
おさむ「え?金?(小声)えーっと。」
じゃらじゃらじゃら。ポケットを探る。
「650円。」いっそう小声で。
ケン「俺は・・・・」
じゃらじゃらじゃら。
「400円。うーん微妙だ。」
「どうしよう。」
運転手(谷K)「お客さん、何かあったのかい?」
ケン「あの実は僕たち、さっき乗ったところのお店でバンド出演してる高校生なんですけど。バンドのメンバーの女の子が今しがた怪しい芸能プロの男に連れて行かれちゃって。急いで追いかけて連れ戻そうと思って。」
運転手「何だってそりゃ大変だ。へーあそこに演奏出来るとこあるんだ。実は私も昔はバンドマン・・てなことはいいや。それはいかん。ちょっと飛ばすからつかまってろよ。」
「飛ばすっておじさん、どこを?」
ぐおおおおおおおおおおお。
くるっと曲がってすげー細い路地に突入。パーパーパーパー。
「ええいどけどけい。谷様のお通りだい。」
「ひえー、おじさんお助け〜〜〜〜〜〜。」
ぶわーぐおーききききき、どーーーーー、ぱふぱふぱふ。
「さー着いたよ。ほら急いだ急いだ。」
ケン「でもお金が。」
「いいいい。そんなこと言ってる場合じゃないだろ。早く行きなさい。ここで待ってるから。女の子取り戻したら、すぐ乗って帰ろう。」
ケン「ありがとうおじさん。感謝します。」
おさむ「ありがとう。」
バタン。たったったった。駆ける二人。
ケン「まずどこへ行けば・・・」
おさむ「そうだ。フロントで聞いてみよう。」
ケン「すみません。こちらにキャシャリン芸能社の社長のセンダさんって方、泊まってらっしゃいますか?」
フロント(フレディ・フェンダー)「ああ、バンドマンの皆さんですね。4階の404にお泊りです。あのエレベーターをお使い下さい。」
ケン「あ、はい。すみません。」
おさむ「おい、バンドマンの皆さんですかってさ。あながち嘘じゃ無いのかなあいつの話。」
ケン「うーん。取り合えず早く行ってみよう。」
エレベーターで4階へ。
ケン「ええと404。あっちの方だ。」
たたたたたた。駆ける二人。
どすん。何かにぶつかった。
屈強な男A(きらカン)「何だお前たちは」
屈強な男B(マツザキマコト)「ここはお前たちみたいなやつらの来るところじゃ無い。帰った帰った。」
ケン「あの、でも。僕の大切な・・・」
屈強な男B「うるさいっ。グズグズしてると座布団で丸めちゃうぞ。」
屈強な男A「モンゴリアン・チョップしちゃうぞ。」
と無理やりエレベーターにまた押し込んだ。
「ぐぐぐぐぐ」
1階に逆戻り。
ケン「くそー。もう一回俺は行くぞ。あんなやつらがいるってことは・・。ますます心配じゃないか。」
おさむ「まあ待てケン。また行ってもあんな連中じゃ・・・悔しいけどかなわないよ。」
ケン「でも・・・・・。ええいどうしたらいいんだ。」
「おい、お前たち!!」
ケン「あ、ジャックさん!オサムさんも!」
「へへーん。アキラちゃんもいるよー」
ジャック「どうした。こんなとこで。ここにいるんじゃないのか?」
ケン「あの・・・部屋の前に馬鹿でかい凶暴な男が二人いて。どうしても通してくれないんです。」
アキラ「何だって〜。よっしゃあああ。お兄さんたちに任せておきなさい。」
ジャック「部屋番号は?」
おさむ「404です。」
ジャック「よーしお前ら、イチゴ組の実力見せてやろうじゃねえか。堅気の衆に迷惑かける悪玉けっちょんけっちょんにしちゃうもんね〜〜〜〜〜」
ヤマモト「兄貴、見栄はいいから早く行きましょう。」
「はーーーい。」
全員でエレベーター乗ってぎっしぎし。
アキラ「兄貴〜、このエレベーター遅いね。」
オサム兄貴「そうだな。何か2週間くらいかかってる気がするぞ。」
ぴーん
全員「よっしゃあ。」と飛び出る。
ジャック「どどどどどどどど、どっちだ。」
ケン「あっちです。」
どどどどどどど。
おさむ「ほら、あそこにいる二人。でかいのがいるでしょ。」
ジャック「何。あれか。おおでかいな。よっしゃまずお前から行け。」
とヤマモトを押し出す。
「え、僕ですかー。」
「そうだ。」
「まったくいつも俺先にいかせるんだから。」
オサム兄貴「お前も行け。」とアキラを押し出す。
「えー兄貴〜。ずるいや〜。」
そろそろと近づく二人。
「あのー。」
屈強な男Aきらカン「何だ。何か用か?」
アキラ「俺たちこの先の404号に用があるんだ。ちょっとどいてくれないかな〜〜〜。」
屈強な男Bマツザキ「駄目だ。あそこは今立ち入り禁止だ。」
ヤマモト「何言ってんですか。あの部屋には知り合いの女の子が閉じ込められてんですよ。どいてください。」
屈強な男カン「駄目だって言ったら駄目だ。」
と二人でアキラとヤマモトの頭押さえて押し返す。
二人手だけばたばたしてるけど一向に前進せず当たらず。
アキラ「兄貴〜。駄目だこいつら強ーよー。助けてくれよー。」
ジャック「全くいつまでたっても半人前だな。よっしゃいっちょ行くかオサムや。」
オサム兄貴「いくぞオラー。」
飛び込む二人。
漫画に出てくる格闘場面。煙の中でどかどかしてるのあるでしょ。もしくはモンキーズで早回しになってるやつ。時々画面から「BANG!」とか「BOMB!」とか「OUCH!」とか飛び出してます。
どんなにかかって行っても二人は涼しい顔。
戦いながら
ジャック「くそー、こいつら強いなあ。ぼかっ。」
オサム兄貴「おりゃあ。全然歯が立たないっすよ。」
どすん。ばたん。ごつん。どどどどど。
ケン「ちょっと待ったーーーー!!。」
一同びっくりしてそのままの格好で硬直。
ケン「おじさんたち。おじさんたちはそんな怖い顔してるけどほんとはいい人なんでしょ。」
屈強な男二人、不意を付かれてびっくりする。怪訝そうな顔。
ケン「だってそれだけ殴られてるのに全然応酬しないじゃないですか。きっとほんとはケンカが嫌いな優しい人なんだ。」
きらカン「何言ってんだ。こいつ。俺らは。俺らは。怖いんだぞ。」
ケン「いや僕は怖く無いです。あの部屋には僕の大切な人がいるんです。大切な人が壊されてしまうかもしれない。僕は行きますから。おじさんたちなら通してくれるはずです。」
マツザキ「何だって。通してたまるもんか。だって俺らだってクビになっちまう。」
涙声になっている。
ケンが通ろうとする。
マツザキ一歩前に。
そこを、きらカン手で制して
「止めだ止めだ。もう我慢出来ん。こんなことするため会社入ったはずじゃないはずだ。」
マツザキしょぼんとして
「・・・・・ああ。・・・・・・そうだな。お前行け。これが鍵だ。彼女のこと。大切にするんだぞ。」
とポンと鍵を投げた。
「ありがとう。おじさんたち。」
走っていくケン。
残りのメンバーは一斉にへたり込んだ。
「ああ、助かったー。終わったよ。」
「さー、どーぞ。どーぞ。この部屋だから。どんどん入ってね。なはなは。」
すっかりハイテンションのセンダ社長です。
「あ、はい。お邪魔します。」
「うんうん、はい。あー、とりあえずそこの椅子に座ってね。はい。」
と窓際の応接セット、ベッドの脇。不安そうに座るアッコ。
「あのー。皆さん。まだ来ないんですか。」
「えっ?皆さんって?。」
「チャアさんとか、ツノダさんとか。来るんですよね。」
「あ、チャアね。あ。あ。あ。さっき電話があってちょっと遅れるからって。やだねー音楽屋さんは。時間にルーズで困っちゃう。なははははは。」
「それじゃ下のホールのとこで打ち合わせした方がいいんじゃ無いんですか。」
「あ、いや。ここで待ってるって言ってるからねー。待とうよ。あ、そうだ。今お茶入れてくるから。」
背中向きで何やらお茶を入れるセンダ。何かがさごそやってます。
「はい。はい。紅茶です。どうぞどうぞ。お砂糖は好きに入れてね。ミルクは無いからいいや。なはは。」
「あ、いただたきます。すみません(・・・・・やだなあ。何か薬とか入れてるんじゃ無いかなあ。・・)
「え、飲まないの。そうか。何かおやつになるものあったよな。ちょっと待ってね。」
部屋の隅にある冷蔵庫へ向かうセンダ。
(・・・・どうしよう。カップ取り替えちゃおうか。でも取り替えるの予測してたらまずいし。あ、戻ってきそう。ええい。飲んだ振りしちゃお。ついでに寝たふりしてみたら・・・)
センダががさごそしてる間に、アッコはカップのお茶をそばにあった観葉植物の鉢の中にどっと。
センダがケーキ持って戻ってくる。
「はい。ショートケーキがあったよー。甘いもの好きでしょう。さー食べた食べた。ってあれ、もう飲んだの?そんなに。で・・・・寝ちゃった。そう。寝ちゃったのね。
まったく警戒もしないで最近の若い子は。ほんと。ゲーノー界ってゆうとすぐついてくるんだから。私がおいたして楽しんだ後、どっか遠い国へ叩き売って上げちゃうから〜。楽しみにしてなさいねー。なはは。」
(・・・・あっ。こいつやっぱりそんなことを。どうしよう。まいったなあ。)
その時、外で
どっかん、ばっかん、どどどど、このやろう、ずどど。ぐお。
「わわわ、何だ何だ。外が騒がしいぞ。」とセンダ振り返る。
(今だ!)
アッコ、股間を思いっきりキーーーーック!。
ヅド。
「ぎゃあ。痛い痛い。何だ寝てなかったの。ぎゃあ。」
不意を突かれて直撃してしまいました球袋すじたろう。
「ぐおー。大事なとこを何するの。この仕返しはー。わかってるわねー。あらオカマになっちゃったわ。」
「何よ、嘘ばっかついて。始めからやらしいことするつもりで誘ったんでしょう。」
と手に掴めるものを何でも投げるぞ、アッコちゃん。
「わ、止めなさいやめなさい。こら逃げるか。こら。」
追いかけるセンダ。
アッコ、棚の上にあったアルミ灰皿を投げました。
ぱこーん。
見事命中。
その時。
どだん。
ドアが開いて飛び込んで来ましたケンちゃん。
「こらあああ。俺のアッコに何するんだ。このやろー。」
ぼかぼかぼか。
「ひゃあああ。ごめんなさい。やられてるのはむしろ僕の方なんですけどー。なははははー。」
と頭を押さえながら外に逃げるセンダ社長。
入口まで追いかけてケツを蹴り上げるケン。
振り返って戻る。
「今、ケン、俺の・・・・って」
ケン、アッコをじっと見つめて。
「さあ、帰ろう。・・・・うちへ。」
ぎゃあっと泣いてケンに抱きつくアッコ。
ケン、びっくりして何も言えない。
上着を脱いでアッコにかける。
「ありがとう」
手を握って二人で部屋の外へ。
「ひゃっほー。ブラボー!!。やったねケンちゃん。」
イチゴ組&おさむ君による熱烈歓迎です。
ケン、頭掻きながら恥ずかしそうに、肩を抱いて一緒に下のホールへ。
外に出ると谷さんのタクシーが待っていてくれました。
二人、乗り込んで。
その後からおさむが乗ろうとすると。
ジャック「おい、おさむ。お前はこっちだ。」
近寄って来て耳打ち。
(二人だけにしてやんな。)
(はい。わかりました。)
ジャックさん、運転席の谷さんにも近寄って何やら耳打ち。こっそり何かお金渡してます。
谷「さー、行こうか。桃屋で良いんだね。」
ケン「はい。ありがとう。お願いします。あ、ジャックさん、皆さん、ほんとにありがとう。」
隣でアッコもペコリとお辞儀。
ジャック「よせやい。あたりめーじゃないか。それよりしっかり送っていけよ。この色男さん。」
アキラ「いろおとこー!!」
ははははは。
タクシーが発車しました。Uターンして右折、まっすぐ行って中華街の前まで行って停車。
谷「ちょっと待っててね。」
しばし後、戻って来た谷さん。
「ほら、これ肉マン。美味いぞう。おじさんのお祝いだ。ちょっとトイレ行ってくるからゆっくり
食べてなさい。」
「ありがとう。おじさん。さあ、食べよう。」
二人で食べる肉まん。
アッコ「熱いね。あったかいね。肉まん。」
ケン「ほんとあったかいや。」
涙流しながら二人で食べて。
(いやー、まいったまいった。失敗だなあ。せっかくあそこまで行ったのに。いやでも惜しかった。アッコちゃんかわいかったのに。)
走ってぜいぜい言ってますセンダさん。
(でもいいっか。逃げられただけでもラッキー。なははははは)
「ちょっとあんた。」
すれ違いざま声掛けられてビクっと止まる。
「センダだな」
「いいえ違います。誰ですかセンダって。なはなは。」
「全国指名手配センダミツオ。特徴は語尾に”なはは”と言うところ。逮捕するセンダミツオ。」
「ひゃあ」
と逃げ出そうとするところ、足を引っ掛けてすってんころりん。
上から押さえつけて手錠ガッチャン。
「悪い」ことは出来ないもんだな。」
見事、捕まえたその人は駆けつけたザキ署刑事ナリタ”クール”ミキオさんでした。
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