2005年09月13日

第6回「目標発見」

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何となく帰りが一緒になったケンとアッコ。なことは滅多に無いので無口である。

ケン「なあ。ウエイトレスばっかやってて何も飲んで無いだろ。ちょっとそこで座ってな。」
アッコ「ううん。けっこう合間見て・・・。あ、行っちゃった。」

アッコを商店街の道中央のベンチに座らせケンは缶コーヒー買いに行く。

ケン「ほら。これ。オゴリだぞ。」
アッコ「サンキュ」

アッコ「あったかいね。」
ケン「メシは食えたのか?」
飲みながら
アッコ「う、うん。大丈夫。夜になったらそんな忙しくなかったから。」

ケン「マネージャーのことなんだけど・・・。いいのかな。まあ大して忙しくなるこたアないけどさ。」
飲みながら
アッコ「うーん、しゃあないね。腐れ縁じゃん。」
ケン「(学校じゃ)クラブとか入ってないのか。まさかまた剣道部とか。ははは。」
アッコ「もうこりごり。運動部は。ってゆうか、シローおじさんのとこで働いてお小遣い貰う方が良いから。」
ケン「ま、大したマネージャーじゃなかったからなあ。向こうでお断りとか。」
アッコ「何よー。あんなにやってあげたじゃない。誰が好きで道着の洗濯とかするかー。」
ケン「だってやりたいからやったんじゃないのか。」
アッコ「まさか。部長先生に無理やり頼まれたからやったんじゃない。」
ケン「ほー、おさむとかに惚れてたんじゃないのー」
アッコ「何言ってんの。バカ。下らないこと言うのなら私行くわよ。」
ケン「おい、待てよ。何怒ってんだよ。おい。明日も行くからなー。」

ケン「あああ、行っちゃったよ。俺何か言ったか。んー」

コーヒー飲みながら無性に腹が立って帰るアッコ。
(・・・・もうまったく。あんたの道着いつも・・・。もう)

翌日・・・・・・・
午後5時、ブギ兄弟達は当然桃屋に大集合する。
店の前で4時50分ごろ
おさむ「ちわー。あれー。開いて無いぞ。どうしたんだ。」
そこへケンもやって来た。
「おう。どうしたんだ。」
「何か閉まってるんだ。どうしたんだろう。」
そこへイットクとマコ、ショータも登場。
「こんちわー。」「ちわー」
ケン「おう。ごくろーさん。」
おさむ「おーは良いけどどうする。」
ケン「とりあえずドアを叩いてみよう。」

ドンドンドン、どんどんどん

ケン「こんちわー。いますかマスター。シローおじさーん。こんちわー。」

がちゃ。ドアが開いた。
アッコ、登場。
ケン「お、アッコ。」
おさむ「いたのかー。」
アッコ「いたのかーじゃないわよ。うるさいわねえ。」
ケン「おじさんは?」
アッコ「何か今朝までやったんだってさ。演奏を。当然バタンキューみたい。」
おさむ「え、朝まで。うわ。うーんやりかねない。」
ケン「じゃあ、練習させて貰ったら悪いかな。うるさいもんな。」
アッコ「うーん。」

そこへ奥からシロー登場。

「ああ、君達おはよう。」
ケン「おはようじゃないすよ。もう5時っすよ。しかも新装開店そうそう休んじゃってまあ。」
シロー「あはは。まあ良いじゃないの。先は長いし。」
おさむ「あはは。でも練習させてもらっていいんすか。」
シロー「ああ、いいよ。どうせもう起きるし。今日はもう店開けないからじっくり練習出来るよ。」
イットク「ああ、良かった。またライブだったらどうしよ思ってましたん。おおきに。」
シロー「さあ、入った入った。」

何やかやと全員店の中に。

アッコ「あ、そうだ。マネージャーとして初めの仕事してきました。よく聞く様に。」
おさむ「えー、何何ー?」
アッコ「コンテスト出場応募してきました。よく練習するように。」
ケン「うわ、まさか。ほんとかよ。わ。そ、それでいつだよそれ。」
アッコ「はい。一月後です。曲目は2曲。頑張ってね。」
ショータ「頑張ってねって。他人事だと思ってー。」
ばこん。これはアッコが張り手の音。
アッコ「さあ、ぐずぐずしないで練習練習!!。」

ケン「うーん、この光景どっかで見たような気が・・・」
アッコ「ほらそこのボケタン!はやくせんかい!!」

はーい。



練習また練習である。学校が終わって5時から8時まで3時間。一応お客さんが入ってくると休憩するがそんなガンガンやってる店に誰が入って来るものか。
少しづつ上達している。それは確かだ。ベース・ギターをジミヘン弾きしてるショータも問題無くこなす。初めからそれだから問題は無いようである。しかしながら相変わらずの問題はいまだあり。一抹の不安が彼らの頭の片隅に春の雑草の根っこのようにめりめりともーりもり。
桃屋での最初の練習日から1週間経った土曜日、いつものように店に来たブギブラザースの面々。習慣でいつもみな同じ時間に。店の前で既に集合している。

一同「ちわー。」
「いらしゃーいませーべーいび。」
ケン「わ、どなたですか?」
そこには見たことの無いでかい男が。カウンターにエプロンして仕事していた。
男「はーい。貴方たち、ケンくんたちねー。キイテルヨー。ミーはねえ、フィルいいます。いよろしく。べいべ。」
おさむ「わ、外人さんだ。フィルさんて...。うーんどっかで見たことある風貌だなあ。」
ケン「わ、そうだ。シン・リジイのフィル・リノットそっくりだ。マカロニほうれん荘で見ました。」
おさむ「ま、まさか。ほんものさん!。はう・ワウ・ユー?ミスタ・リノット?」
フィル「ノーノノー。違うねー。よく言われるけど。私の名前フィル・コリンズ・アッテンボロー・ゴンザレスね。大体、知らないね、リノットさんって。誰ねそれ。オウイエイ」
ケン「何だそうかー。びっくりしたなもー。でも何でいるんですか?フィルさん。」
フィル「フィルって呼んでくだせー。親しみ大。いやな、ミスタシローに頼まれて。ほらアコちゃんだけじゃカワイそうだからゆうてねん。」
おさむ「そうですかい。そりゃま確かにそうですねん。いやだわこっちまで日本語おかしくなってきた。それはともかくよろしくフィルさん。みんなもほらキチンと挨拶せんかい。」
一同「は=い。よろしくー。」

奥からアッコ登場。
「来たねえみんな。さー外だ外だ。」
ショータ「何で外なんですかー?」
「荷物早く置いて。外に出ればわかるわかる。」

アッコ、いつの間にか自転車で登場。
「さあ走れ走れ。」
おさむ「走れ走れってなぜ走る。」
「いいからいいから。あんた達の演奏には腰が入って無いよー。だから走れ走れ。」
イットク「そないな殺生なあ。あきまへんでー」
ケン「うん、それもそうだ。お前も文句言ってないで走れ走れ。」バコっ。
ショータ「いたー。わてまだ何も言ってまへんでー。そんしたなー。あ、大阪弁移った。」

全員仕方なくザキの商店街を走リ出す。

アッコ「これは良い宣伝になるわねえ。今度から旗でも立てて走ろうかしら。」
おさむ「ぜえぜえ。何言ってんのかねこの女は。まったく。」

10分後
BGM。♪とんからかったんとんからかったんとんからかったんぷー
ショータとイットクが大きく遅れる。
「おおい速おますね〜。大坂人は走るの苦手やさかい。」
「おーい待って下さいよう。辛いっスよう。」
へなへなへな。その場に座り込む。
上からハトの糞、二人の顔面に落下。
「へーーーーーっ。ついてまへん。何でこないなことになったんやら。。」
マコはゆうゆう先頭を切って走ってる。
「ほらほらマコちゃんだってこんなに元気だよ。あんた達ぐずぐずしてるとケツ蹴り飛ばすぞー。」
「こわー。アッコさんこわー。」

ぜえぜえぜえ。
さらに10分後、その辺を1週して桃屋にご帰還。
「みんな、明日もあさってもずーっと練習前は走るからね。そのお・つ・も・り・で。」
全員、文句言う気力も最早無し。
「は〜〜〜い」

「さあ練習練習とっとと準備する!。」
「は〜〜〜〜〜い」

ようやく練習。音を出す。心なしか足腰据わった音のような・・・訳は無い。

そこへ一人の男が店に入って来た。
「こんちわ。良いかい。ここ座って。」

シロー「あ、ジャックさん。久しぶりです。あ、君達ちょっと音止め...。」
ジャック「ああ、いいいい。そのままそのまま。」

そこへもう一人の男が入店。ジャックに駆け寄る。
「兄貴〜。良いんですか。こんなとこで油売っててー。また親分に文句言われますよ〜。」
「バカタレ。いちいちうるさいんだよお前はー。しばらく俺はここにいるからお前はその辺で客引きでもやってろ。」
「そんな殺生なあ。」
ばかばかばかばか。全身をはたかれてジャックの子分山本が悲鳴を上げながら外に。
「まったくあのバカタレはいつまでたってもバカタレタレタレ」

席に戻ったジャック、ただ黙って練習してるブギブラザースを見続ける。



それから2週間、コンテストの日まであと1週間となり、ブギブロスの面々は、走っては練習走っては練習のひたむきな毎日をおくっておりました。それなりに演奏もしっかりしてきた問題のZZトップのタッシュ、シャッフルの曲もイットクは必死にくらいついて何とか必ず完奏出来るように。タッシュはスライド・ギター、ギンギン、ブルースの基本、シャッフルとゆうことでおさむが絶対やるのだと言って聞かなかったのである。

演奏が上手くなるにつれて問題が一つ。

音量が上がっていった。ロックバンド七不思議の2.5に上げられる音量問題。自信につれてヴォリューム以上に音が前に出ますのね。一応この前の改装で防音処置を追加した桃屋ではあるがこれには分が悪く、ドアの向こう側に音が漏れ出し、前を通る人がぼちぼち中を覗き込むようになってきた。

そんな中...

いつものようにどがんどがん練習中、曲はホット・レッグス♪。
いきなりドアを開けて、ちゅうより蹴り開けて知らない兄さんが入って来た。ポケットに手を突っ込み、ステテコ、腹巻、帽子ってまるで寅さんじゃん。口を意味不明にあごあごして体を左右にマリオネットのようにふりふりカウンターのシローちゃんの方に向かって歩いていく。

ブロスの面々は夢中で気が付かない。

ほっれっ、足が無い♪ あれがほれ♪

近づく兄さん、いきなり椅子を蹴飛ばし両手ををガンとカウンターに叩きつけた。

「われーーーっ。誰に断ってこんな音出しトンじゃい。やめんかいこのー。」
「やめんかいこのー。」
いつのまにかもう一人後ろにいた。いささかおどおど貧弱なリーゼントの兄さん。

ばっ。

さすがにケンたちも気付いて演奏を中止する。
「何だ何だ。誰だ。あの人たち」

「だ・れ・に・断ってやっとんじゃいって聞いとんじゃい。われ〜。こたえんかい。」「こたえんかいおらー」

シロー「誰に断ってって、あんた。ここは私の店だ。好きにやらせてもらうよ。」

おさむ小声で「おー、おじさんかっこいー。がんばれー。」
ケン「ばか。呑気なこと言ってるんじゃない。やばいかも。わわわ。」

「われ〜。くそなまいきなこと抜かしおってからにー。ここがカラタチ組のシマだって知っててそんなこといってんのか。われ
ー」「われー。」

わ、ゴスペルみたいだとケンは思った。コール&レスポンスって言ったっけなそうゆうの。

どん!!

カウンターの奥から大きな音が

「兄さん、騒がしいじゃないか。いい音楽聴いて飲んでるんだから邪魔しないでくれるかな。」

おさむ「おージャックさんだ。奥で飲んでたんだ。気付かなかったよ。」

「誰に向かって口きいとんじゃ・・・・・」
振り返った兄さん、ジャックの顔を見て凍りつく。
「わわわわ。ジャック兄さん。いつのまにこんなとこに。だって親分があのナシつけて来いって。あの。」

ベン!!頭を思いっきり引っ叩かれる。

「バカヤロ!!今時んなカッコでイキガルやくざがいるかい。ちっとは考えろみっともない。」
「えー、でも久しぶりの晴れの舞台だったもんで...」「もんで」
「ばかたれ。まとにかくここのことは親分には話を付けとくから。ま、大人しく座って酒でものめや。」
「はい。すんません。ちそうになるっす。」
「あ、マスター。こいつ俺の弟分の弟分でオサムって言うバカです。こんなんだけど根はいいやつなんで。堪忍してやって。」
「あ、まあ。そうゆうことなら。よろしく。オサム兄さん。おさむが二人になっちゃったな。ははは。」
「アニキイ〜。俺も俺も。俺も紹介してくださいよう。」
「ばか。お前はいいの。」
ジャック「まあ、いいじゃないか。お前名前なんてんだ?」
「はい。わたくしアキラって言いますっ。以後お見知りおきを。」
シロー「アキラさん、こちらこそよろしくー。」

ジャック「あ、おめーら。何やってんだ。ライブ近いんだろ。早く練習戻りな。」

ブギのブロス「あ、はい。あああ、はい。」

オサム兄さん「あのー。いいですか?」
ジャック「何だ。まだ何か文句あっか。」
「いえ、文句なんてとんでも無いっす。あのーお願いが。」
ジャック「何だよー。ぐずぐずしてないで言うことあるなら早くいえよー。」
「えーと1曲歌わせてもらっていいすか?昔ちびっとやってたもんで。あの。懐かしくなっちゃって。」
「何だ。そんなことか。おーい。お前ら。このあんちゃんが歌いたいってよ。頼むわひとつ。」

ケン「あ、はい。えーと弾けるかな。何の曲やるんですか?。」
オサム兄さん「あ、君達。頼むね。これこれ。」なぜか楽譜持ってる。なんでだ。

おさむ「あ、ボクもおさむって言います。よろしくー。あ、これですね。これなら出来るよ。きっと。」

しばしミーティング後、ブギブラザース・フューチャリング・オサム兄さんで演奏開始。
曲はもちろん

「大坂で〜生まれた〜女や堺〜。♪」


「ホールだよ。」 ケンが言った。
「ホールだな。」 とおさむ。

「先輩、感慨にふけってると受付に遅れますぜ。」
ばかっ。
ケン「うるさいなあ。やっとここまで来たんだからもう少し感動させろや。」
おさむ「まあ、いいだろこれくらいで。ははは。先は長いし。」

イットク「では乗り込みまっせ。」

場所は関内馬車道にある横浜市民ホール。ホールはホールだが収容人数は満杯で500人くらいの小ホールである。
それでもケンたちにとっては初の大舞台、緊張するなって言っても無理か。
今日はヤマヘ・ミュージック・コンクール・東西バンド合戦横浜中央地区予選の日。会場にてのブギ兄弟たち。

アッコ「何やってんの早く早く。」
「へ〜い。」

小さいながらちゃんと有るロビーは頭の形が50種類くらいの妙な人間どもで溢れかえっていた。
アッコ「えーっと。受付はどこかしら。  あ、あそこだ。あんたたちここで待ってなさい。何か聞かれるかもしれないから。
うろうろするんじゃないよ。」

「へ〜い」

5分ほどして。
おさむ「ねえ、楽屋は?立ってるのもしんどいなあ。」
アッコ「無いって。」
ケン「へ?」
アッコ「無いんだって。楽屋は。ここで着替えてここで待機してここで待ってろだってさ。リハは3番目あと15分したら始まるから早く準備してね。」
ケン「ひえー。あわただしいな。仕方が無い。あの階段下に陣取ろう。行け!ショータ。れっつごー。」
「はい!。」ぴゅーーーーー。
「陣取りました!リーダー!」
「よくやった。ぼかっ」
「ひー、褒められる時もハタかれるの〜」
マコ、声出さないで大笑い。あ、ちゃんとマコもおります。

15分後。
「えー横浜ブギ・ブラザースの人はいますかー。次の次リハーサルですんでステージのそばで待機してて下さいー。」
「はーい」
アッコ「準備出来た?チューニングは?あ、ショータ、遅いわねえ。弦が少ないんだから速く出来るだろうに。さあさあ。」
ショータ「はいはい。出来ました出来ました。どうも不安で。何回もやっちゃったよ。」

前のバンドはキャロルみたいなロケンロールバンド。マイクにかじりつくように歌っております。
ケン「ぎゃ、やだなあ。あのマイク。リーゼント病が移っちゃうよ。アルコール誰か持って無いか?」
アッコ「そんなもんあるわけないじゃない。文句言ってないで。  ほら終わったわよ。はい。リハ頑張って=」

うんこらしょどっこいしょとセッティングあっとゆうま。桃屋で毎日やってるぶん慣れたものである。

ケン「えーっと。ちぇっくちぇっくチェック。あーあーあー。」
おさむ「ちぇちぇちぇちぇっく。えーっとアンプのボリュームこんなもんで良いですか?あ、良いですか。お前ら覚えとけよこれ。さあやるかケン。」
ケン「みんな行くぞー。」




1,2,3,4

いざリハーサル開始。曲はスロー・ライドである。

どん、どん、どん、どん
ずずっじゃ、ずずっじゃ、ずずっじゃ、ずずじゃー、ずずっじゃ、ずずっじゃ、ずずじゃー
くいー〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん、ずずじゃー
♪すろーらいっ、てきにーじー。すろーらいっ、てきにーじー。
♪すろーらいっ、てきにーじー。すろーらいっ、てきにーじー。
♪飴飲む?〜〜〜〜〜〜

「はーいっ。そこまでー。OKですー。」
ずだだだだだー。

ケン「へっ?もういいんですか?」
PAの兄ちゃん「はい。OKですー。次の人準備してー。」

すごすごと片付ける兄弟たち。入れ替わりのバンドにせっつかれるようにステージを降りホールに再び集合。
おさむ「何だよなあ。短すぎるんじゃないのか。」
ケン「ほんとだ。あれじゃリハって感じにもならないよ。」
アッコ「ええとね。出場バンドが15あるってゆうから時間が押してるんじゃないの?でもばっちり音はまとまってたよ。」
おさむ「うーん。まあ音は。さんざやってきたから。それにしてもお前たち、だいじょぶかこれで?」
イットク「セッティングが違ったんで。とまどいましたけど。まあ何とか。ええんじゃないでしょうか。」
ショータ「ううんと僕はですね。あのですね。モニターがですね。聴こえにくかったんですけど。それでですね。あの・・」
ばこっ。
ケン「そーゆーときはアンプにひっついとけ。とにかくこれで本番だから。頑張るしかないぞおらあ。」
一同「は〜〜〜い」

おさむ「ところで本番は何時頃?」
アッコ「えーとね、始まるのは1時からだけど出番は4時ごろの予定。」「セッティングは5分演奏時間15分で9バンド目
だから」

おさむ「まあ遅れるだろうけど3時半にはここにいた方がいいんじゃないか?」
ケン「そうだな。それじゃ3時半にここに集合ってことで。」

イットク「先輩たちはそれまでどうしてるんでっか?」
ケン「今12時だから。そうだな、まず腹ごしらえだ。2階に喫茶店があるからそこで食おうかなっと。お前たちは?」
アッコ「じゃ私も」
おさむ「俺もそうするか。」
ショータ「えー?茶店ですかあ。うどんが食べた・・ばこっ・・くないです。一緒に行きます。」
イットク「ほなわてもお相伴を。マコもええわな。」
マコ黙ってうなづく。
そして2階へ向かって走り出す。

アッコ「あ、危ない!!」
2階から降りてきたヘビメタ兄ちゃん二人組みにマコが階段でぶつかった。
スローモーションのように体が浮いて下に飛ばされる。
その時、
イットクが走ってジャンプ、横になってマコの下敷きになって受け止めた。
「何だよ。危ねえじゃんか。気をつけろよ」とヘビメタ兄ちゃん。
ケン「なんだとー。お前らこそどこに目を付けてんだよ。」
えーーーーん。マコが大声で泣き出す。
イットク「先輩。ええがな。こいつも不注意だったけんね。すまんです。堪忍してください。」
「ふん」鼻鳴らして二人は行ってしまった。

「ううう。」
おさむ「どうしたイットク。」
ショータ「あ、先輩!イットクの指が。真っ赤です。」
おさむ「やばいなこれ。」
ケン「・・・・。早く病院行こう。近くに外科あったよな確か。あそこは12時半までやってるから。早く行こう。」
えーーーーーん。一際大きい声でマコが泣く。
アッコ「マコちゃん、さあ泣いてないで。早くお兄ちゃん病院に連れて行かなきゃ。」
マコ泣きやみ、こくんとうなずく。

30分後。診察終わってイットクが出て来た。右手が包帯でぐるぐる巻き、肩から吊っている。
ケン「どうだった。」
イットク「・・・・。折れてましたわ。」
おさむ「何ー?。それで演奏はー。」
イットク「無理みたいです。このままにしとかなきゃいかんて。すまんです。ほんとに。」
一同「・・・・・・・・・」
ショータ「どうしましょう。コンテスト。先輩。先輩」
ケン「まいったな。うーーーーーーーーーーーーん。」

そこへマコが涙で真っ赤な目の顔をしてケンの脇腹を突付いた。
ケン「ん、何?。しょうが無いよ。マコが悪いんじゃないから。え、何。違うの。」
posted by 山 at 08:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 第6回「目標発見」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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