2005年10月28日

第16回「いざ決勝戦」

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リハ終わって楽屋へ戻る兄弟たち。

おさむ「ははは、面白かったなあ。まさか、ハナさんとPAさんの社長が知り合いだったなんて。」
ショータ「ほんと。一時はどうなるかと思った。」
ケン「思ったって、お前の時が一番危なかったんだぞ。」と頭を軽くぱこーん。
ショータ「すんませーん。はともかく。リハ終わったら急にお腹が減って来ちゃった。」

くぅ。

ショータ「ほらね。」

くぅ。  くぅ くぅ ぐぅ。

ケン「おー、あちこちで鳴ってるよ。遅くなっちゃったけど昼飯喰わなきゃ。みんな弁当とか持って来てるか。」
イットク「はい。わてらはお手伝いはんがオムスビ作ってくらはったんで、ここで食べます。」
うなづくマコ。

ケン「俺は・・・ははは、持って来なかった。」

ショータ「ちぇ、先輩。持って来なかったって。ほら、あそこでもじもじしてる美しい女人がいますよ。」

アッコ「あ、は、あ、あの、これ?いやね。忘れるおバカがいるかと思って沢山作って来ただけ。何よその目は。もう。いいから早く食べなさい。」

ケン「はいっ。」

おさむ「ちぇ。もう尻にしかれてるよ。それにしても困ったな。俺も持って来なかった。どこかに喰いにいくか?」

ケン「これ、一緒に喰おうよ。」

ショータ「何をゆう(見栄切って)。そこでアッコさんが睨んでます。怖いです。」

その時、楽屋のドアから

「おいおい。誰か開けてくれ。両手がふさがってんだ。」
とシローおじさんの声が。慌てて開けるショータ。

シロー「さー、みんな。どうせ昼飯持って来てないだろ。これ作って来たからみんなで食べよう。」
手に持ってる箱の中には桃屋特製ビッグ・ハンバーガーやらタマゴサンドやらがいっぱい入ってます。

おさむ「おー、すげー。おじさんさすが!涙が出ます。さー喰おう喰おう。」

ケン「あー、いいな。美味しそうだな。」
横でアッコがぎろり。
ケン「でも、ボクはおにぎり好きだからおにぎりいただくだもーん。わはははは。」

ショータ「あ、ボク。じゃ飲み物なんか買ってきましょうか?」
シロー「あ、そうか。飲み物か。それは気が付かなかった。」
ウエキ「何だ。シロー。間が抜けてるぞー。相変わらず。」
頭を掻くシローおじさん。
その時、ドアが開いて・・・・・

「はーい。みんな、元気してる。じゃじゃーん。アスカちゃんの登場だよ。」
「やあ。」「どうだい。」
ゾロゾロと入ってきたのはタカギアスカに校長に理事長。

りゅうち理事長「や。どうだ。調子は。」
片岡校長「陣中見舞いだ。これ持って来てやったぞ。こいつが朝早く起きて段取りしたんだ。」
アスカが持ってるのは、どだーんと魔法瓶3本。
「えーん。重かったよう。これ、コーヒーなんだけど。インスタントでなし。のむべし。」

ケン「あ、ありがとうございます。ちょうど飲み物無くて困ってたところで。ありがたく頂戴します
。ありがとう、アスカちゃん。ほら、みんなも。」

一同「ありがとございまーす。」

ケン「先生たちも一緒にどうですか。ここでお昼?」

校長「いや、どうもここはそう広くないようだし。迷惑かけてもいかん。今日はいい天気だしこいつと客席で食べるよ。頑張れよみんな。しっかり見てるからな。」

ケン「そうですか。すみません。精一杯頑張ります。」

手を振りながら楽屋から去る理事長たち。

おさむ「さあ、食べよう食べよう。おじさん、ピクルスちゃんと入れた?」

シロー「おうよ。その辺はぬかりありませぬわ。くわ。」
タタラを踏んで多々良純。

全員大笑いして、楽しいランチタイム。



「くはー!」
「ほよー!」
「ぷはー!美味かったー。」
全員大満足でランチタイム終わり。

ケン「いやー、少しは控えようと思ったけどこりゃ無理だわ。うまいうまい。」
ニッコリするアッコ。
ショータ「そりゃそうだあ。先輩のには愛がたっぷし入ってるもんな〜。」

ベコっ。

アッコのハイキック、シュータの後頭部に直撃。

「いやーん。恥ずかしい。」

ショータ「くおー。痛ー。いやーんてあーた。」痛さで床を転げてます。突然スクっと立ち上がって。
「そいや出番はいつ頃になるんですか?」

アッコ「ごほん。えーと。さっき聞いたんだけど。えーと、みなさん注目!出番はー。3時から本番始まりますので私たちのは5時半頃になるとゆうことです。ちょっと待つけど、時間ずれる事も考えられますので、ここから離れないようにしてください。おわり。」

それ聞いた桃屋の親父衆、さすがベテラン・ミュージシャン。待つのはお手の物。ウエキさんトランプを取り出して何やら怪しい勝負が開催され始めました。

ケン「俺らはどうしょうか?」
おさむ「ふっわああ(アクビしながら)、しょうがないな。大人しく待つっきゃないか。」





大会が終わった。
優勝したのは鳥取代表のバンド、おっはー鳥取ばんどの「おっはー鳥取」。
準優勝はコアラのマーチ。
両者はプロとしての道が開けることに。
ブギ・ブラザースは・・・お昼食べたおにぎりとハンバーガーのせいで全員が腹痛に。本番時にはアッコ以外全員病院にいた。どうゆうわけかアッコだけは食中毒にならず、大会を観戦。おっはー鳥取ばんどを一目見てファンになってしまう。特にギターのウルトラ砂丘君の。大会後、そのままウルトラ砂丘君を追っかけてしまうアッコ。家出をして鳥取に付いていって。
その後バンドのメンバーになって東京でレコード・デビュー。「おっはー鳥取」は100万枚の大ヒットとなったもののヤメハとの契約で印税は全て会社側に。浮かれて金を使いまくってたメンバーたちは一挙に窮地に。
結局、全員、バンドを諦め、鳥取に帰ってしまう。そこで砂丘とアッコは結婚。2児をもうけるが華やかな世界を諦めきれない砂丘がのんだくれ暴力を。2年後離婚。子供二人を抱えて魚市場で働くアッコ。1年後そこで出会った魚屋さんと結婚。しばらくは幸せな日々を送る。男の子が生まれた頃から魚屋さん、ギャンブルにはまり町金から借金を。あまりの取立てに失踪してしまう。3人の子供を抱えたアッコは再び魚市場に。額に汗をかきながらふと思い出すのはあの決勝の日のことであった。


おさむは大会後、勉強する気にもならず、かといって店を手伝う気にもならず、桃屋でぶらぶらぐだぐだしてたらいつのまにかオサムちゃんと仲良しに。シローの止めるのも聞かずに苺組に入ってしまう。3年後、オサムちゃんとアキラちゃんと一緒に独立。おさむ商事を作って金貸しに。借金の取立ての時に相手の逆ギレにあい、太ももを刺され、出血多量で一人寂しく死亡。

・・
・・・
・・・・

ショータは無事高校卒業。金の力で薬科大学に進学するも演劇にはまる。授業そっちのけでドラマ、映画のエキストラのバイトに。そこで知り合ったプロダクションに入ってTVドラマ「青春とはなんだんねん」で不良の役で出演。青春ドラマ・ブームにのってちびっとだけ人気者に。しかしブームはあっとゆうまに去り3年留年後復学。何とか薬剤師免許取って実家のヘビヤを継ぐ。ドラマ出演時のことを知ってたつう女の人と見合いで結婚。自分のとこの赤マムシどんどん飲んで大活躍。子供を7人作りました。今はぴかちゅう。



マコとイットク。両親の会社が倒産。共に行方不明に。親切なあのお手伝いさんの家に引き取られる。中学に入ってマコは不良少女と呼ばれてしまい。髪はちりちり、目にはアイシャドウ。チェーン常備で街を闊歩。注意した警官に重症のケガをさせてしまい補導。院を出たあとはしばらく大人しくしてたものの家出、行方知れず。ことぶき町の映画館のポスターで見かけた人あり。
イットクは高校を中退。自動車修理工に。真面目に働き、経営者に気に入られ養子として入ることに。そこの娘と結婚して今は社長さん。株投資で儲けて今度ザキにハンバーガー・レストランを出店する。桃屋の前に。

・・


さてケンちゃん。大会後、アッコにふられたショックで何も出来なくなる。年を越す頃ようやく何とかふっきれ受験準備をするものの当然ことごとく落ちて浪人。予備校通いに。それでも勉強せず毎日店の金をくすねてはパチンコざんまい。1年後取り合えず受験をした4流大学にそのまま入学。毎日をパチンコとマージャンですごして7年かかって卒業。地元の不動産屋さんに就職。今日もパチンコ屋さんでシローに会い説教されてる。玉をすってすってオケラになって思い出すのはあの決勝の日の空であった。





「ぎゃああ。」
「ひえええ」
「わ」
「ごごご。いけねえ、すっかり寝ちゃった。今何時?」とケン。
「えーとまだ4時。」とおさむ。
「じゃだいじょうぶか。はいいけど、何かとんでもない夢見ちゃったよ。」
ショータ「え?先輩もですか。俺も」
アッコ「わ、わたしも。汗かいちゃった。」
イットク「わてもや。しょうもなあ。」
おさむ「俺もなんだけど、みんなどんな夢見たんだ。」

全員下を向く。しばらくしてむくっと顔を上げて全員で

「今日は絶対にがんばろうぜ!そりゃもう絶対!」

まもなく本番の時です。



そんな夢を見ちゃったもんだから全員目はぎんらぎんら、時間がまだ少しあっても居眠りするどころではありません。

おさむ「まだかー。」
ケン「あ、もう少し。もうすぐきっと呼びに来るよ。みんなチューニングとか仕度はいいか?」

全員「はーい」

おさむ「はーいはいいけど、俺、何だか緊張してきちゃったよ。まいったな上がったことなんかないのに。」
ケン「うん、何かなあ。あんな夢見ちゃったし。プレッシャーあるよなあ。」

ショータ「じゃじゃーん。」。でかい声でいきなり。

ケン「びっくりしたなあ。なんだよいきなし。」

ショータ「へへえ。皆様。そうなるだろうと予想してましたショータちゃんは。」

背負ってきたリュックを開けて何やらごそごそと。

「じゃーん。うちのカア様が出番前にこれを皆に飲ませるようにって。預かってきました。」

おさむ「何だよそれ。」

「よーくぞ聞いていただきました。これぞ我がヘビヤ秘伝の必殺ドリンク「或る蛇老」だー!効能はーーー上気せる血はにわかに沈静もっこし、また沈鬱なる気分せる時はにわかに燃え盛るほのおのい〜ずみ〜〜。」

ケン「能書きはいい。飲ませろすぐ。」
おさむ「でも、あれじゃないか。ヘビヤのだったら成分はもしかして????」
ケン「いえい。この際、そのことは考えるな。くれ。」
ショータ「はいはい。それじゃ皆さんどーぞ。あ、マコちゃんは半分にしときなさい。残りは兄ちゃんが飲むからね。」

アッコ、ショータに回し蹴り。バコ。「きゃ変態野郎!」

ショータ「いてーなー。重いの持って来たのに〜。ジョーダンですよう。でも高いんですからこれ。うちじゃ一本一万円で売ってます。」
ケン「原価は?」
ショータ「えーと500円。わ、何言わす。」

おさむ「ま、いいや。飲むぞー一気に。かんぱあああい。」

ごくごくごくごくごく。

アッコ「ひえーーー。何かこれ効っくわー。」
イットク「ほんまや。何かこーファイト沸いてきまへんかー。」

全員「ぐおー。」

その時、楽屋のドアが開き
「えーと。横浜ブギブラザースの皆さん。そろそろ出番です。楽屋の袖で待機してください。」

全員「ぐおーーー!!。」

「ひえっ。見かけは普通なのに随分なーー。」と逃げて帰ります係員さん。

「さー行こう。」

だっだっだっと若いのも親父も意気揚々とステージ袖にレッツゴー。

ケン「あれ、フィルは?そう言えばずっと見ないけど。おじさーん。」
シロー「あ、あいつか。ええと、あの、あいつはどうも恥ずかしがってね。バスから出て来ないんだよ。でもさっき言ってきたから本番直前には絶対来るから安心しなさい。」

ケン「そうですか。あいつ衣装自前だって言ってたから。楽しみだ。うひひ。」
おさむ「おい、そりゃいいけど相変わらずコアラのまーちは上手いなあ。けっこう盛り上がってるぞ。」

ステージ上ではラス前のバンド、お馴染みのヘヴィメタバンド、コアラーズが出てます。

曲はハートのバラクーダ。♪「うぉんちゅ・・・ばらくだああ」

ケン「わ、俺この曲好きなんだよなあ。」
脇からアッコが腕をぎゅちゅうっとつねります。
ケン「わ、この曲だっせー。」

曲が終わって大拍手。

「てめええらああ。あたいがモンキッキじゅん子さ。うかうかしてると張り手かますよ。みんなありがとー!!」

イットク「何やあのMC。人格めちゃめちゃや。」

「ばかやろー。ありがとおお。最後の曲だてめーーー。どうか聴いてくださいーい。いくぞー。」

始まった曲はアイ・ラブ・ロックンロール。

じゃ、じゃじゃじゃんじゃじゃー、しんぎん♪

ショータ「おー、リフがかっこえー。誰の曲だろう。」

大いに盛り上がり終了。万来の拍手だ。

ケン「さーみんな次だ。行くぞ。気合だ!ぶぎーーっ!」

全員「ぶぎーーっつ!!」。



「いやーセクシイでしたねえ。コアラのまーち。ごくろうさんでした。いえいみんなのってるかい?」
普段何で食べているかわかりませんタレントさんイグラちゃんの司会だよ。

「のってるみたいだよもぐもぐ。ぼくちんは寿司の方がいいなあ。」

アシスタントは犬山いぬこさん。すっかりマキバオーになりきってます。

「イグラちゃん、次が最後だね。紹介しておくれよ。もぐもぐ。」
「まいったなあ。アシスターントは女の子だと思ったのになー。馬でした。
それでは本日のメイン・レース!。最後の最後だよ。同じく神奈川エリアを勝ち抜いて来たこのバンド、何やらやらかしてくれそうです。

横浜ぶぎーーーーーーブラザース。どぞ。」


ステージ暗転。

しーーーん。

暗闇の中から音楽が

♪ぱーぱっぱっぱーぱら〜ん♪

曲は「A列車でいこう」。
どこぞのスーパー・バンドも使ってた。ただしこちらは生演奏、桃屋バンドの皆さんです。

♪ぱらららぱららら、ららーん♪

どすんたかどんどんたかどすんたか、どんどんたか

ハナさんにより小さなドラムソロ開始。いきなり立ち上がって床を叩きながらステージ前に。
マイクスタンドを叩きながら上へ上へ。
どんづまって
「何?    何?   

アっと驚くタメゴーッロウ  と来たもんだ。」

♪遠い遠い昔。あるところにおじいさんとおばあさんがおったとさ。♪
隣のマイクで歌いだすケン。曲は「アメリカン・パイ」。

♪おばあさんは山に芝刈りに、おじいさんは川に流されに===行ったとさ〜〜♪

とてもメロにのってるとは思えん。

♪フェブラリー・ステーックスでは、すってんてんですどーーーしましょ。
残るは100円。一発やって帰るかのう。」


♪かんかんかんかん、かんかんかんかん、かんかんかんかん、かんかんかんかん

ふざけるなテメー、と断ち切らんばかりにアッコのピアノ乱入。曲はお馴染み

「ロックンロール黄金時代」

桃屋ホーンズの皆さんここで参加
♪ぱんらーぱーらん、ぱぱらぱー、ぱぱぱ、ぱぱぱぱぱぱぱぱぱーっぱーああん♪

ケンが唄うよ。
♪エビリバデ、へい。みんなでへい。最近益々元気ぃ。

短いヘビ大きいヘビ、延ばしてまるめてインドお


<コーラス:おおお、おおお、  みんなハッピイ、こりゃハッピ>

おおお、おおお、これでいいのだロックンロール!!

さっぱし改善されて無いふざけた歌詞が功を奏して、ぐっとリラックス。ノリも抜群です。

キシダさん、のけぞりながらサックスソロ、引き継いで顔も演奏してるぞ、おさむのギターソロ。

全員一丸となって
一挙にラストに突入。

じゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃ
絶対〜〜〜〜〜〜。   じゃん。


わーーーーーーわーーーーわーーーー。
大拍手。  はくしゅ。

「ありがとー。ありがとー。よろしくブギブラザースです。
こちらは先輩でおじさんで尊敬する先輩で、あのー、  桃屋ホーンズ!!」


ぱやぱやぱやぱやぱやーー♪

わーわーわー。

掴みはOK。順調発車だレッツゴー。


大歓声そして静寂。ドラムにスポットライトが当たります。

ケンが雄叫び
♪スロおおお〜〜〜ラああああーいド

どん、どん、どん、どん

観客席がざわざわと。誰もいないのにドラム鳴ってるぞ。

どん、どん、どん、どん、ばしゃあぁぁん!  アッコ立ち上がってシンバル一発。

「おおおおお」。姿が見えて歓声が上がった。

リズムギター・イン

きーーーーーーーーーーーーん♪

小さい持続音が。おさむのスライドギター。
今回の為に特別に買ったギター・エフェクター「ぐやのコンプレッサー」の威力で音の伸びが違う。
それにしても音が小さい。

きーーーーーーーーーーーーん♪

いつの間にかイットクがギターアンプ傍に待機。一挙にツマミを右側へ。

ぎゃあああああああああああ、スライドバーがフレット駆け上がる、きゃああああぁあぁあん♪

スローライッド!!

バンド全員参加。

ぎゃーすこ、があすこ、ごががんがガガゴンX4。

♪スローライ   敵に石(←Take It Easy)
 スローライ   敵に石(←Take It Easy)
 スローライ   敵に石(←Take It Easy)
 スローライ   敵に石(←Take It Easy)

 雨飲も  だくだく
 日が光り もう飲めません いえ

 んー、んー、スロライ

♪スローライ   敵に石(←Take It Easy)
 スローライ   敵に石(←Take It Easy)


 すろらい、難題 がたがた述べるなよ
 ほーみー、ほーみい、モンゴルのほおみー
 んごーーー

間奏

ツインリードー。
てろれー、てろれー、ててーてろーれ、てとたたたてろーらら、てとたたたー、てろれーろーら

 雨飲も  だくだく
 日が光り もう飲めません いえ

 んー、んー
♪スローライ   敵に石(←Take It Easy)
 スローライ   敵に石(←Take It Easy)

 すろらい、難題 がたがた述べるなよ
 ほーみー、ほーみい、モンゴルのほおみー
 んごーーー

おさむにスポットばっちり当たって怒涛のスライギターソロ。
うねるうねるこねるこねる、体もくにゃくにゃ、顔もほげほげ。いいかおしてるぞ。

 すろらい、難題 がたがた述べるなよ
 ほーみー、ほーみい、モンゴルのほおみー
 んごーーー

ドラムのみ全員絶叫
♪スローライ   こんなん(←go now)
 スローライ   こんなん(←go now)

 コレデイケルカイ?これで踊るかい?これで歌うかい?

 ベーイビ、あは ベーイビ、あは ベーイビ、あは ベーイビ、あは

 再びおさむショー

 テンポアップ。ショータの指がテンパってる。どどどどどどどどどどどどどどどど

 ケンが雄叫び
 ♪スロおおお〜〜〜ラああああーいド

 さんきゅ。

(フォガットのスロー・ライド。ライブ・バージョンお持ちでしたら聞きながら読んでください。)



うおーーーかっこええぞう、もっとやれーこのバカヤロー!!

と声もかかって2曲目も大受け。兄弟たちも楽しそうです。

おさむくん、思いのほかの反響でガラにも無く照れている。手を振ったりしてるぞ。

その時、舞台の袖で何やら。
ケンが気が付いて見ると、おさむくんショーの間は休んで引っ込んでいるアッコが何やら合図をしている。
両手を左右にのばして、うーんこれは時間引き延ばしてくれってことだ。

ケン「えっ!次はタッシュだから。2分ちょっとしか無いぞ。どうしろってんだ。
んんん、何とかなるか。おいおい。」
とドラムの前に全員集めて何やら相談。

1、2、3,4
♪じゃっジャジャーン、ジャッジャジャーン、じゃっジャジャーン、ジャッジャジャーン、

ZZトップの名曲、タッシュが始まった。

その頃、舞台袖ではアッコがおろおろ。
「まったくどこにいったのかしら。次が出番なのにフィルったらいったい。おじさん、ちゃんと来るって言ってたんでしょ彼。」
シロー「うん、最高にのってたからな。まさかすっぽかすことなんか無いとおもうんだが。」
「ちょっと探して来ます。曲、終わりそうになったら引き伸ばすように合図してね。」
「おいおい、伸ばすって言ったって。ああ、行っちゃった。とほほ。」

舞台袖から裏の方を探します。
するとカーテンの陰に人影が。
「あ、そこにいるのフィルじゃない?フィルでしょ。」
ビクっとして振り返る人影。
「あ、フィルだ。何してるのこんなところで。あ。泣いてるの。なんで・・・・。それにそのかっこ、まー」
と今度は吹き出す。
「アッコさん、アッコさん、すみません。準備ばんぜーんしたですけどけどけど。ほらこれ見て下し。」
「あら、何て。ひどいわ。どうして。」
フィルが持っているのは中央からポッキリと折れたベースギター模型。
「せっかく皆さんがいっしょけんめい作ってくらはったのに。こななってしまいました。ちゃんとみてなかた責任ありますわたし。」
「一体誰が?何か見た?フィル。」
「背中にコアラの絵が描いてあるジャンバー着てた人、逃げて行きました。」
「あー、やつらね。まだ懲りずに。くそー。
フィル、こうなったら仕方ないじゃない。無しで出るのよステージに。」
「あ、ベースギターならありますです。」
「え、何で」
「これで練習すると汚れると思ってサラリーで本物買いました。」
「何だ。え?それ普通逆じゃ無いの。ははは。それなら、それ使いなさい。さ、早く早く。もう曲が終わっちゃうわ。」

その頃ステージ上ではおさむくん、通常の尺の8倍スライド・ギターソロ取ってます。
やることなくなって寝転がって弾いてる。
ケン横目で舞台袖見ると・・・・・
アッコがOKマーク。両手でまん丸マーク。

よしとばかり全員に合図、一挙にエンディング。
あ、おさむだけ気付かずまだ寝転がって弾いてる。

ケン近づいていって頭を一発はたく

パコ。

気付いて止めるおさむ。ぽかーんとしてたら

客席大爆笑。大歓声。

どうやら演出だと思ってくれたらしく。案外なものでした。ラッキー。


ケン「ありがとうありがとう」


「お次の曲は・・・次の曲には・・・この人がやって来てくれました!」

舞台の袖から、桃屋店員フィル・コリンズ・アッテンボロー・ゴンザレス、すっかりフィル・リノットになって登場。キンキラキンのベースをかかえ、ラメ入りのチリチリ髪。衣装もラメ入り、ズボンはもちろんパンタロンだ。

「・・・・・」。場内あっけに取られる。
「あ、シンリジイの人だ!」 誰かが叫ぶと

わーーーー!わーーーーわーーーー。大歓声と拍手。

フィル、頭を掻きながら手を振る。
本物のベースを抱えて出て来たので、そしてあまりの衣装の凄さに知らなかった兄弟たちもぽかんです。
フィル、ショータに近づいて一言。
「すんません。ショータさん。この曲でボク、ベース弾かせてもろてよかですかい?」
「え?フィル、ベース弾けんの?」
「練習しました鬼瓦のように。」
「そかー。良いよ。じゃ心配だからもし詰まった時にサポートするよ。ここにシールド刺しな。」

ショータ君もモノがわかっていってるのか、いくらアンプに差込口が二つあるからといってやろうとしてます同時差し。

「俺はヴォリューム0にしてるから。わかんなくなった時だけ弾くよ。」
フィル泣きながら「感謝します感謝しまショータさん。あなたトモダチ。」
泣いたものだからアイシャドウ取れて真っ黒。
「わ、寄るな黒くなる。それはいいから早く早く。」
「あ、そうか。」

マイクに向かい
「皆さん、コンチーワ。やります。「奴らは街へ」」

1,2,3,4

♪じゃーん、たかたとんたたん、じゃーん、じゃああん
♪じゃーん、たかたとんたたん、じゃーん、じゃああん

お、けっこうやりますフィル君のベース。荒削りながらノリはばっちしかも。

♪私はフィルよ。フィルと申しましてもリノットじゃなくて
フィル・コリンズ・アッテンボロー・ゴンザレスと申します。
桃屋つう横浜のハンバーガー・ショップ兼ライブハウスでバーテン補佐をやってまして、そしたら兄弟さんに誘われまして何でもシンリジイつうバンドのフィル・リノ

奴らは街へ、奴らは街へ  じゃーん、じゃーん

奴らは街へええ、ええ、奴らは街へ♪

いくら原曲も早口だと申してもこれは無謀。それに増して早口で自己紹介してやがりますフィル。

♪ットに似てるそうで、いえね私は知らなかったんですけど見たらびっくり兄弟みたいじゃありませんか。それならってんでやろうと思いまして。ベースギターーは紙で皆さんが作ってくれましてそれで練習すると汚れると思いまして、それで給料で買いました練習用のベース、そしたらさっき

奴らは街へ、奴らは街へ  じゃーん、じゃーん

奴らは街へええ、ええ、奴らは街へ♪

演奏、ドラムとベースだけに。

♪奴らは街へ、奴らは街へ


♪奴らは街へ、奴らは街へ

ははあ、皆さん一緒に歌わない気だな。許しませんよフィルさんは。

じゃあこれでどうだ

ベイベーーーーーー(客席指差す)

しーーーーん

ベイベーーーーーー(客席指差す)

べいべー(一人)

ベイベーーーーーー(客席指差す)

べいべー(35人)

ベイベーーーーーー(客席指差す)

べいべー(三千人)

やったー。

べいべいべべいべべいべ(客席指差す)

べいべいべべいべべいべ(750人)

べいべいべべいべべいべ(客席指差す)

べいべいべべいべべいべ(1550人)

べべべべべべべべべべべい(客席指差す)

べべべべべべべべべべべい(1020人)

部ばばべべびぶばぼびぼばずびずべいぼぶびばぶびぼべぼばぼん(客席指差す)

部ばばべべびぶばぼびぼばずびずべいぼぶびばぶびぼべぼばぼん(1人)

わー、凄い。(喜ぶ)

ベイベーーーーーー(客席指差す)

べいべー(35人)

ベイベーーーーーー(客席指差す)

べいべー(三千人)

ベイベーーーーーー(客席指差す)

べいべー(三千5人)

ベイベーーーーーー(客席指差す)

べいべー(満場われんばかり)

ギターソロ突入。ケンとおさむ見事なトゥインリードだ。

奴らは街へ、奴らは街へ  じゃーん、じゃーん

奴らは街へええ、ええ、奴らは街へ

奴らは街へ、奴らは街へ  じゃーん、じゃーん

奴らは街へええ、ええ、奴らは街へ♪

アリバイのリフを挟んでエンディング!

じゃん。

「ありがとう!!」

ケン「フィル、最高!。みなさんフィルに拍手を。」

場内大歓声。
フィル、泣きながらシールドを抜き、ショータにお辞儀。
泣きながら兄弟たちにお辞儀。
泣きながら会場にお辞儀。   右手に去り際、コケた。

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