
「ちょっと待ったーーーーー!!!!」
突然店の入口の方から大声が。
ケン「あーびっくりしたー。ウエキさんじゃないですか。」
「そうそう。私がかの有名なウエキです。おしさしぶりー!!」
おさむ「あ、キシダさんも。ハナさんも。イカリヤさんも。」
ブギー兄弟うち揃って
「こんにちわー。久し振りです。」
イカリヤ「おー相変わらずチームワークばっちりでけっこうけっこう。」
奥からシローちゃんも出て来ました。
「いやー来たね諸君。どうだいこの子らの演奏は?」
ハナ「そうそうそれそれ。いや随分腕上げたねえ。びっくりしました。アッと驚くためごおろう。」
ウエキ「ほんまほんま。話には聞いてたけどアッコちゃんピアノうまいねえ。おじさん感心しちゃったよ。」
ハナ「それにほらこのオチビちゃん、マコちゃんだっけ、この体のどこにこんなパワーあるのかねえ。」
と頭をナデナデ。マコはもうニター。
「あのー僕達はどーでしょーか?」とおずおずとショータ。
後ろからイカリヤそーっと近寄り紙巻きメガホンで頭をポカっ。
「ナーイス・ヒット!!」とケン。
「ははは。まだまだー。褒められようなんて百万年早いわー。」
「ぐすん。まだですか。」へこむショータ。
「でもこの前よりは90万年進歩したから褒めてあげよう。」
「え、90万年ばんざーい。」
「ははは。それよりさっきの曲。なんだい?あれは。」とウエキ。
ケン「えーとオリジナルです。僕が作りました。てへ。」
「ほー凄いじゃない。驚いたねナイスな曲だよ。でも何か悩んでいたようだけど。」
「そうなんです。イントロのとこが寂しいんじゃないかって。」
「ふーん。ちょっと待ってね。」
とウエキさん、カバンから何やら紙出してすらすらすらーっと。書き上げるとキシダに渡した。
「へー、面白いですね。さすがウエキさん。」
「さあ君たち、演奏したまえな。」とウエキさん、キシダさん、それぞれ自分のラッパ取り出して。
おさむ「えー、参加してくれるんですか?凄いぞこりゃ。」
アッコ「うまく出来るかなあ。うーん。では行きます。」
1,2,3,4
パーパパパパッパラパ、ぱーぱ、ぱーらっパッパパー♪
ピアノに併せて絡む2本の管。
♪ずずぢゃぢゃ、づづぢゃぢゃ、ずずぢゃぢゃ、づづじゃじゃ
如何にするかーはどうでもよい このまーま行けたら良いな
如何にするかーは気にしない 間違うくらいが良いよ
如何にするかー 何も浮かばない 何も何も無い
〜
〜
♪
間奏でも炸裂。あの曲この曲のフレーズを織り交ぜて。
最後もびったし〆ておくれだ。
ケン「わああ。凄い。何か雰囲気変わったなあ。もう贅沢で。」
おさむ「ほんとだわ。これなら最後の曲でもいけるんじゃないか。」
ケン「もうお願いしちゃおう。すいません。お二人とも本番でもお願いできませんでしょうか?」
ウエキ「どーしよっかなあ。ご褒美なんかないとなあ。」
キシダさんはニヤニヤ笑っている。
「ま、しゃあない。アッコちゃんが歌う曲だから協力しちゃおう。キシダ君もいいよな?」
「いいですよ。いきがかりですから。ははは。」
「と、オリジナルも形になったことだし、さあ君たちステージだ。今晩から頼むね。」
とシローおじさん、いきなりとんでもないこと言い出した。
ケン「えー、ライブですか?聞いてないよー。」
「ほらプログラムとチラシ。用意できてるだろ。」
イットク「ほんとだ。わ、何時の間に。写真まで入ってる。」
シロー「今日からいよいよ桃屋もライブハウスとして本格発進だ。コンテストへ向けた練習としてもいいだろう。まあ遅くなるとマコちゃんも眠いだろうから君達は1番手、7時からのライブだよ。」
ウエキ「その後、我々の登場って訳だ。まあ最後の曲には出て上げるから。」
ケン「うーん、こうなりゃ男は度胸一番。OKです。みんないいよな?今晩からやっちまおう。」
ブギー兄弟一同「おーーー!」
こうして横浜ブギブラザーズ、ライブバンドで本格発進することになったのです。
「えー、えーっと今日になって決まったことでしてはい、それなのになぜこんなに
(し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん)
桃屋ライブ発進ばんざーーーーい!!
(し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん)
とゆうことで、なぜこんな一杯お客さんが...」
「何言ってんだー代表バンド!。」
「あの時見てたんだぞー。」
「がんばれー兄弟。」
「ありがとーーー。ええいさっそく行っちゃいます。1曲目はロックンロール黄金時代だー。」
ケンちゃんやっと吹っ切れてぶっ飛ばしたぞ。
<わーーーーーーーーーーーーーー>
客席も大爆発。
♪かかかかかかかか、かかかかかかかか、かかかかかかかか、かかかかかかかか
ふぁあふぁっ、ふぁあふぁ、ふぁっふぁっふぁふぁあふぁ、ふぁふぁふぁふぁふぁふぁふぁふぁ
ふぁふぁっふぁあ
みんでヘイ、おいらもヘイ、とってんころりんヘイホー
♪
上がっちゃって歌詞がめちゃくちゃだー。
♪じゃじゃじゃ、じゃじゃじゃ、じゃじゃっじゃーーーーーーーーん、じゃん♪
(し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん)
「えっ?だめっ?」
<わーーーーーーーーーーーーーー>
「いいぞー!」
「さいこー!」
「だいとうりょーー!」「たまやー」
おさむ「わ、わ、わ。ありがとーーー。ありがとー。いえー。じゃどんどんいっちゃおー。」
のりにノッた兄弟たち、すっかり緊張もほぐれて快調に曲を次々と。客席の熱気もどんどんアップだ。
そんなこんなで5曲目タッシュを軽く決めたその時、客席もちょっと一段落落ち着いたその時、店の右奥の机に陣取ってる連中から声が
「へいへい。うまいぞー。ヘボにしては。」
「だせー曲をようよくやるよな。一生懸命。」
きゃはははははは。
ショータ「あ、あいつら。コアラのマーチだ。」
「くそだぞ。くそ。みなさんこんなクソにだまされてないで帰って寝ましょうね。」と叫ぶは確かにコアラだ。
するとコアラの隣、今まで黙っていた姉さん、もちろんそれはジュン子姉さんです。立ち上がって
「きゃああ。しびれるー。ボーカルのだーりん。カマ男だけどーーーーん。」
とくねくねと。
客席がざわざわし始めた。
店のカウンターにいつものように座ってたジャックさん
「あいつらー。何者だ。こんなめでてえ時に。」
「ええ、確かあの子達のライバルバンドのコアラのマーチってのかと。」と子分ヤマモト。
アキラが興奮してます。
「あにきい〜。なんとかしてくださいよう。あいつら凍っちゃってますよう。」
「くそう。俺が行ってきます。」
とオサム兄貴が立ち上がったその時
ピアノの前でマイク・セッティングしてたアッコ、スクっと立ち上がると客席に向かって歩き出した。
かっかっかっか。
ジュン子姉さんの前に立った。
ばしーーーーーーんっ。
「おだまり!!」
顔を思い切りはたきました。
はたくとくるっと180度。回転してたったった。元のピアノ椅子でマイク・セッティング。
(し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん)
(し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん)
ケン「おだまりーーーーーーー!!」とシャーウト。
ショータがパプーとハープを鳴らした。
すると客席が
「おーだまり。おーだまり。おーだまり。おーだまり。」
一斉に巻き起こるおだまりコール。
ほっぺたを押さえて呆然と立ってたジュン子姉さん。
「お前たち。帰るよ。帰るんだよ。」と立ち上がって机のコップを床にパシーンと投げつけた。
バラバラになったコップ。
(し〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん)
入口に向かって歩き出すコアラのマーチ。
「おーだまり。おーだまり。おーだまり。おーだまり。」再びおだまりコール段々大きくなって最高潮に。
ジャックさんもヤマモトもアキラもオサム兄貴も参加です。
満員のお客さん、モーゼの奇跡みたいに真っ二つに割れたその通路を歩いて入口に差し掛かった時
「ちょっとあんたち待ちなさい」
シローちゃん登場。
「飲み物代、食べ物代、それからコップ代、しめて3000円となりまーす。」
ジュン子姉さん、アゴでコアラに合図するとおずおずと財布から出して払います。
「おありがとうごーざーい。」
「おありがとうござーい」と会場全員も。
ケン「さーみんな、盛り上がってきたところで最後の曲だー。
最後の曲はオリジナルだぜ。
それにー
特別ゲストがおります。
横浜ブギイ・ホーンズ!! ミスター・ウエキとミスター・キシダ! みなさん拍手をーー。」
<わーーーーーーーーーーーーーー>「キシダさーん」「よ無責任男!」
1,2,3,4、5,6,7、はい
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
桃屋レギュラーライブ初日のブギー兄弟達。
うまくいったようです。
「ちょっと君たち。来て来て。」
土曜日の昼の部のライブを終わって満員のお客さんにいえーいえー、頭はたかれるわ体触られてきゃあって言うわもー大変なブギー兄弟たち。シローちゃんにカウンター席に来いと呼び止められます。
「えー、なんすかー。」
「お疲れ様ー。今日も良かったよ。新曲もまとまってきたねー。」
「いやどもども」とケン。
「いや実はね。このレコードなんだが。」
と取り出だしましたのは、黒人さんが巨大乳母車に乗ってお母ちゃんに押されてるジャケ。
ケン「何ですか、このレコード。」
ショータ「あ、ボク、この人知ってます。この前ソウルトレイン出てました。かっこよかったなあ。」
バコっ。
ケン「こらいいかげんなこと言ってんじゃない。」
ショータ「えーほんとですよー。いてーなー。」
シロー「ははは。それはぶたれて気の毒だ。当たりだよきっと。これはジョニー・ギター・ワトソンって人のレコードなんだ。」
ケン「あ、そなんですか。ごめんショータ。ほら俺をぶっていいぞ。ガツーンと。」
ショータ「いいですいいです。後で倍になって帰って来そうなんで。ははは。」
おさむ「お前意外と頭いいんだなあ。あんまり変わりないと思うけど。」
イットク「それはええねんでっからどうゆうことですかいの。そのレコードは。」
ケン「お前しばらくしゃべって無いと思ったら関西弁下手になったなあ。偽者かー?」
シロー「ははは。そりゃほんものだろ。ねえマコちゃん?」
ニターと笑って首を振るマコ。
イットク「そんな殺生な。じぶんいつからそんな芸身に付けたんや。まいるわ。ほんま。」
一同爆笑。
ケン「で、ほんとにそれが何なんでしょうか?」
シロー「あ、そうそう、それでね。このレコードをコピーしといてくれないかね。いや昔と音が変わってすっかり今風なんでうちらがやるより君たちがいいんじゃないかと思ってね。」
ケン「それは構わないんですけど。なあ。みんな。」
一同うなずく。
「昔っておじさん、その人知ってるんですか?」
「うん。まあね。ちょっと。それはいいとしてほら。」
と言って下からポスターをぞわっと。ぱあっと広げて後ろに貼りました。
ショータ「えーっと”今話題のファンキイ・ブルース・ギタリスト、ジョニー・ギター・ワトソン、桃屋に来店。兄弟と共演かーー!!?”って東スポ風ですね。って来店っ。らいてーん。」
ケン、はたくのも忘れて
「えーワトソンさん来るんですかーっ?そ、それで僕らが共演っ!!」
「いや来るのは確かなんだけど。共演できるとは限らんが。もしかして出来たら楽しいだろ?」
「はいはいはい」と一同。
「でいつなんですかそれは?とポスター見たら、えー明日ー!!!」
「明日です。だから今日の夜の君たちのライブはお休み。家でコピーしてきてね。はい。」
とカセット6本出して
「さあ早く早く。間に合わないよー。」
「はーい」と全員追い立てられるように帰ります。
「あ、出来そうなやつだけ選んどいたから、きっと大丈夫。」と後ろからシローさんの声がしました。
とゆう訳でジョニー・ギター・ワトソンさんの曲を覚えるように言われたのが土曜日の午後。各自一生懸命覚えたもののやっぱ外タレさんと共演ともなると不安満杯、翌日出番の前にみんなで集まってミーティングしようとゆうことになりました。場所はもちろんおさむん家、来来軒の2階とゆうことに決定。
がらがら〜。(引き戸を引く音です)
ケン「こんちわー。毎度おじゃまします。」
おさむの親父徳衛「へい。いらっしゃいまし。お、ケンちゃん。いらっしゃい。みんな揃ってるよ。それに・・・」
ケン「あ、ほんとだ。ごめん最後になっちゃったか。」
メンバー全員カウンター席についてラーメン食べてる最中。どうやらそれを当てにして早く来てたらしい。
ショータ「あ、リーダー。いや別にまだ時間じゃないんでいいですけどね。それはそうと。」
と長〜いアゴで角の席を指してます。
ケン「えっ。何?あそこ? あ、兄貴。」
角のカウンター席でラーメン食ってる男、麺をすすりながら手だけ上げます。
ケン「兄貴。どうしたの。帰ってたんだ。しかし何でここに・・・」
ケンの兄、トミユキ、麺を口に入れたまま
「ふがふが、今さっき着いたばかり。腹減っちゃってね。急にここを思い出して食べたくなったんだ。」
とおさむの親父に会釈。
「まったくありがてえじゃねえか。こーんなちっちゃい時から食べてるもんねえ。帰ってきたら直行なんて涙が出るよほんとに。なあマサコ、いやマナミ。」
「やーねえ父ちゃん。名前間違えちゃいかんずら。ほんとにねえ。嬉しいねえ。と、ケンちゃんケンちゃん」と背中越しに何やら2枚のチケットをケンに見せる。指差して凄い顔でトミユキ兄ちゃんの方を顔で指してます。
「どうかしましたか?」トミユキ。
「いえあの、何かそのー背中痒くて。ねえ。困っちゃうわ。ほほほ。」姉。
ケンの方に寄って来て小声で
「鈍いわねえまったく。これスカラ座の券2枚。前からお兄さんが帰って来たらよろしくって頼んでたじゃない。」
「あ、そうでしたそうでした。すんません。ってことはおデート申し込みですね。何とかやってみます。」
「頼むわよ。うまくいったらラーメンしばらくご馳走してあげるから。」
「ラーメンですかー。チャアシュウ麺が食べたいなあ。」
バコっ。ケンの頭叩いて。
トミユキ、顔を上げて怪訝そうに。
マナミ、振り返ってニコーっと笑います。
ケンに
「こらっ、足元見るんじゃないっ。うーん、仕方が無い。交渉成立だ。そのかわり失敗したらー。」
とゲンコツぐりぐりしてます。
「はい。只今やりますやります。」
「父ちゃん、ケンちゃんにチャーシューメン一丁ね。」
「おや今日はケンちゃんチャーシューメンかい?」
「はいはいいいのいいの。ねえケンちゃん。」
「いいなあリーダーだけチャーシュウメン。」とショータ。
バコっ。
「いてぇー」
すかさず姉ちゃん、ショ−タ引っぱたく。
ケンの方を見て凄い顔。アゴで指す。
「ひえ。あ、あの兄ちゃん。」
「何?」
「今日この後時間があるんだろ。久し振りに映画なんか見ない?スカラ座の券2枚あるんだけど。」
「リーダー、そんなん2枚あるんだったらアッコさんとデートしなさいよ。」とショータ。
バコっ。
「いてー」
「何?」
「いや何でもない。どう、見ない。えーと今は確か宇津井ケンのザ・ガードマン東京砂漠だったかな。」
「うーん、そりゃ休みで帰ってきたから時間はあるけど、宇津井ケンかあ。面白いかな。」
「あ、田口計と今井ケンジも出るよ。」
「ほんとか。じゃあ行こうかな。でも券2枚あるんだろ。あと一枚は?」
「あ、ほんとだ。あと一枚ある。あ、そうだ。マナミ姉さんこの前これ見たいって行ってませんでしたっけ。」
「え、私。うーーん、確かに見たい映画だけどー。どうしよっかなあ。忙しいかもしれないしー。」
と体をくねくねさせてます。気持悪い。
「行きませんか?」とケン。
「うんにゃ。いくいく。行きますわよ。」とニターっと笑います。
「じゃ決定!兄ちゃんと姉ちゃんで映画に行くっと。」
トミユキ「決定ってお前。この人と俺が映画にいくのかい?」
マナミ「あら、私じゃご不満だって言うのかしら?」
トミー「いえいえそうゆう訳じゃ・・・」
「じゃあちょっと着替えて来るからちょっと待ってて下さいしゃんせ〜。」
るんるんしてトントン2階に上がる。
「お待ちどうさま。」
「はえーなお前」父ちゃん。
「君達、君たちの分のラーメンは今日は私のおごりねぇ。さあトミ〜。一緒にいきましょう。」
「トミ〜ってあーた。」
と強引に手をつないで行ってしまいましたお二人は。
「すまねえなあケンちゃん。面倒かけて。」と父ちゃん。
「すまないケン。面倒かけて。」とおさむ。
「いいっていいって。さあおめーたち!こっちはミーティングだ。2階へGO!」
「へ〜い。」
マナミ「私、映画久し振りだわ。うれしくって。」くねくね。
トミユキ「はあ。僕もずっと見てません。」そわそわ。
マナミ「ねえ、手つないでいい。せっかくだし。」くねくね
トミユキ「はあ。えっ。けっこうですけっこうです。」
マナミ「いいじゃない。ほら。うぶなのねん。」。手どころか腕にむしゃぶりついてしまいました。くねくね。
トミユキ「まいったなあ。」赤くなってます。
マナミ「ねえ、トミーって呼んでもいいん?」くねくね。
トミー「はあ。別にいいですけど。初めてだなあそんな風に呼ばれるの。」
マナミ「嘘おっしゃいマツとコンビ組んでたくせに。」
トミー「はあ。」
マナミ「学校の方はいかがですの?」くね。(もう止めたとにかく必ずくねくねしてると想像してお読み下さ
い)
トミー「いや、何せ地味なことやってるんで。時々嫌になることあるんだなあ。」
マナミ「トミーは何を研究してらっしゃるの?」
トミー「知ってますか。ミジンコってゆうの。あれの研究なんだけど。」
マナミ「ミジンコってあの坂田明ちゃんが増やしてるやつー?嫌だほんと地味ねえ。」
トミー「けっこうあれはあれはかわいいんだ。マナミさんも増やしますか?」
マナミ「えっ!そんな気持悪い。(でも育てればまた会えるかも・・・)、何でもありませんわ。ええ喜んで。
」
トミー「ほんと?じゃあ今度持ってくるね。いやー楽しみだなあ。中華ミジンコだ。」
マナミ「あ、ここここ。時間も丁度いいし。入りましょ入りましょ。」
二人は横浜すから座に到着。古くからある老舗の映画館で建物は古いものの風格があります。
入場券モギリのおじさん(森川信)「いやーいらっしゃい。おやマナミちゃん。珍しいねえ。今日はデートかい。楽しんでおくれ。バカだねートラは。」
マナミ「嫌だおいちゃん。からかわないで。でも良い男でしょ。うっふん。」
ホールに入った二人。
マナミ「まだちょっと時間があるわ。なんかこう小腹が空いてきたわねえ。ねえトミー何か買って〜〜。」
トミー「じゃあ売店に行ってみようか。」
マナミ「えっ売店っ。あそこにはまだあいつがいるかもしれぬ。」
トミー「何か?」
マナミ「いえいえ無いでもあないわ。いきましょいきましょ。」
とホール端っこにある売店に向かいました。
マナミ「ええと。何がいいかしらねえ。おっ、出たな妖怪。」
売店の売り子(うつみみどり)「あらあらあーら。マナミさんじゃなーい。しばらく。今日はおデート?あなたがまさかねえ。夢じゃないかしら。」
マナミ「へへん。そのおデートじゃ。悔しいかお化け。」
ミドリ「え、ほんとにおでーと。悔しいわ悔しいわ何だかとっても悔しいわ。キンキ〜ン。」
キンキン「何かあったのかーいダイザエモ〜ン。パラリ登場キャット空中三回転。」
マナミ「何このおじさん。まあいいわ。そのお煎餅頂戴。ふたつ。」と直径1mの巨大煎餅を指差す。キンキン「これ食うのか〜い。ダイザエモーン。こんなん1年に1回出るか出ないかにゃよー。1枚千円です。」
マナミ、ひじでトミーの脇腹を突付く。
トミー「痛。あ、はい。払います払います。これ食べるんですか。あ、そう。払います。」
マナミ「ご馳走様。」
二人ででか煎餅持って中に入りました。
マナミ「あ、あそこが空いてるわ。あそこにしましょ。はやくはやくう。」
と全速力で前から20列目ど真ん中にダッシュ。
マナミ「ごめんなさいごめんなさいあらごめんなさい。あら一つしか空いて無いわ。おじさんそっちへズレテくださる?」
親父(エバタタカシ)「うるせえな。いやだね。」
凶悪な顔ながら最後のオシラスの場面までは決して登場せず途中で仲間に殺されてしまう雰囲気の親父が文句言います。
マナミ「ナンだって?」とコブシを見せる。
「はいはいずれますずれりゃいいんでしょ。くそ今日もついてねえなあ。」
マナミ「まー何て親切な方でしょう。ありがとう。はやくはやくトミー、ここ空いてるわよ。」
トミー「すみませんすみません。」
ばりっ、ばりっ、ばりっ。
マナミさん、すげー音で煎餅食ってます。スクリーンでは宣伝のホテルのCMが。
♪「貴方と私のめくるめく一時。ホテル・シャトーはナウなカップルのお越しをまってます」♪
マナミ「まあ、何て素敵なホテル。ねえ、今日あそこ行きません?」
トミー「えっ!!」
マナミ「冗談よ冗談。(ち。行こうって言うかと思ったのに)」
トミー「ごほん。ところでさっきの売店の店員さん。お知り合いですか?」
マナミ「え、ちょっとね奥様は18歳で。いや、あれよ高校の時の同級生。嫌な女でしょあいつ。」
トミー「あー。」
ばりっ、ばりっ、ばりっ。一挙に煎餅ばりっ。
「うるさいなあまったく」前の親父が振り返って。
マナミ「何よ。売店で売ってるんだから何食べたっていいじゃない。あああ。辛いもの食べたら甘いもの食べたくなっちゃった。」
そこへホール担当の売り子さんがやって来ました。
売り子(どらえもん大山)「えーオセンニきゃらめる、ジュースにレッド・ツェッペリン、ままーにオグリキャップいかが。」
マナミ「あ、いいところに来た。そのアイスクリームちょうだい。2個ね。」
トミー「あ、僕煎餅まだなんでいいです。」
マナミ「何いってんのよ。私が2個食べるの。払っといて。」
売り子「駄目だなあ、ノビタくん。じゃーん、あいすくり〜む〜。乳脂肪分18%。食べたら激太りするから注意して食べましょう。」
マナミ「色々うるさいわね。はやくよこしなさい。ばくばく。」
売り子「あー、もう食べちゃったののびたく〜ん。知らないよママに怒られても。」
きーんこーんかーんこーん
そんなこんなで映画がはじました。
♪べーんべんべんべん♪ ザ・ガードマン東京砂漠です。
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